自分用日記

散歩

丘の上の住宅地を歩いた。

古い家が入り組んだ道に建ち並んでいて、私有地と公道の区別が難しい。高い所を目指して歩いていたら、途中で民家が建って行き止まりの道に当たった。

引き返そうとしたら、ちょうど車が入ってきた。道路脇の生い茂る草むらに半身をつっこんで、やっとのことですれ違った。

これがもし民家の住人で、うちに何か用があるのかと訊かれたらどうしようかと思ったが何もなかった。不審に思わせてしまってたら申し訳ないな。

まだ太陽が燦々と照りつける時間帯なのに外に出て庭仕事をしている人が多かった。やましいことがある訳ではないが、なんとなく不審者に思われないよう怯えながら歩いた。

来た道とは違う道を降りていくと、裏には更に高い丘があった。そっちも登ってみると、上の方に、かなり古い長屋や団地が並んでいた。

長屋の方は屋根から壁までだいぶ傷んでおり、現在は誰も住んでいないようだった。とある玄関の郵便受けから何らかの郵便物が飛び出ていたが、元の色が判別できない程黄ばんでいて、長い間誰も近づく人がいなかったことが窺えた。

団地の方も、今でも人が住んでるかどうか怪しい外観だったが、駐輪場に自転車が何台か並んでいたので誰かしらは住んでるらしい。

通りかかった公営住宅を見てみると、少なくとも道路から見える範囲の部屋は全部空いていて、向こうの窓まで視界が開けていた。その中に1室、窓際にボロボロのカレンダーがかかっている部屋があったが、生憎目が悪いので年月までは分からなかった。

 

団地の外れには近くには古い電話ボックスがあった。最後に使われたのはいつだろう。

 

団地から進むと、一転して新しく綺麗な家が多い区画に出た。丘を回り込む形で住宅地を進むと、急に視界が開けて広い墓地を見渡せる坂に着いた。

墓地は坂の中腹に広がっており、普段よく通る道から一部だけは見えていたが、上から見下ろすと全貌が見えて、思っていたよりも随分大きかった。大きい墓地を見ているとそのうち生きてる人間より墓の方が多くなってしまうのではないだろうかと錯覚して不安になる。

坂を下った先に、小学生向けの自転車が乗り捨ててあった。団地の駐輪場の自転車も捨てられたものだったのかもしれない。